オンラインや対面でレッスンをしていると、自分の姿勢に気づいていない人の多さがわかります。
胸を高く上げる、背筋を伸ばす、上から吊られているように、おそらく姿勢についていろいろ言われた経験から、なんとかいい姿勢を取ろうとする人は多いし、肩や腰の慢性的な痛みから姿勢をよくしたいと願っている人も多いのに、です。
自分の姿勢について観察する、ということはとても重要です。しかし、同時にとても難しいのです。
姿勢のプロによって外部から、筋肉の状態や骨の状態に対し適切にアプローチしてもらうことは非常に効果的です。また、巻き肩、反り腰、ストレートネック…現代の生活環境で起きやすい姿勢の問題について、効果的な運動やストレッチの情報がYouTube等に溢れ、香りや温浴など身体を緩める癒しの環境をつくる情報も多くあるため、自分でできることも多くあります。しかし、脳や筋感覚は普段の状態に戻ろうとする力があるため、定着させていくには別のアプローチも必要です。つまり、自分の姿勢について観察する目を養うということは、ストレッチ等の効果を高め、より良い状態に近づくことの手助けになります。
また、歌唱の際に適した姿勢を取ろうとした場合にも、自分の姿勢を観察できることは役に立ちます。呼吸管理を達成しようとした場合、足裏から頭までのバランスが大事となりますが、例えば腰が反っている場合、胸郭の下側の動きが阻害され、最適なアッポッジョの達成が難しくなります。この問題を解決するには、緊張している部分をほぐす・腹壁のサポートを増す、といった必要もありますが、バランスを整えるためには自分を細かく観察することが役に立ちます。
歌うための姿勢をとったときに無意識に起こってしまう、声を邪魔している姿勢の要因を取り除くことで突然声が変わることに驚く方も多くいます。それほどに無意識の反射は身体に染み付いていますし、影響しているのです。
無意識にしている緊張や反応に気づいてもらう、より適切な状態に導く、その状態を自分で観察することで持続する(自分でそこに導く)、ということの手助けができたら幸いです。
次回は、姿勢を支えるために筋肉はとても重要ですが、できるだけ効果的に鍛えたいですね、という話です。
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